
「レ・ミゼラブル」主要キャスト大抜擢で注目!山田健登さん独占インタビュー【私の推しごと#20】
福岡ゆかりの人に、「お仕事」の話から、個人的に推している「推しごと」の話まで、普段聞けないいろんなことを聞く『ARNE』のインタビュー企画『私の推しごと』。
#20は、世界中で愛され続ける名作ミュージカル『レ・ミゼラブル』の主要キャストに抜擢され、今回初めて『博多座』の舞台にも立った、山田健登さんの登場です。
博多座公演(2025年4月6日~30日)の合間を縫って、ARNE編集部に遊びに来てくれました!

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
1999年5月29日生まれ、長崎県佐世保市出身。福岡を拠点にして、テレビ、ラジオ、舞台、ライブなどで幅広く活動していた10人組エンターテインメントグループ『10神ACTOR(テンジンアクター)』(2014~2021年)のメンバーとしてキャリアをスタート。その後東京に拠点を移し、ミュージカル『新テニスの王子様』、『テニスの王子様』4thシーズンで手塚国光役をトータル約3年間演じ、今回、ミュージカル『レ・ミゼラブル』(2024年12月20日~2025年6月16日※チケット完売)で初のマリウス役を務めている。俳優、シンガーソングライター、ダンサーなど多彩な顔を持ち、2025年4月23日にはメジャー4thシングル『Marry Marry Dance(メリメリダンス)』を配信リリースした。
「お仕事」について
Q:東京・帝国劇場で開幕し、大阪、福岡、そしてこのあと、長野、北海道、群馬と上演が続く、不朽のミュージカル『レ・ミゼラブル』の大舞台に、主要キャストの一人、マリウス役でご出演中(取材時)です。福岡での公演の印象はいかがですか?
福岡のお客さんは熱い! 観客席からの熱気をすごく感じます。僕はこれまで博多座に入ったこともなかったので、今回とても感動しました。
―帝国劇場は今回のこの公演を最後に、全面建て替え工事に入りました。山田さんも歴史ある舞台に立ったのですね。
はい、誇りに思います。僕が帝国劇場で初めて観た舞台が、2021年の『レ・ミゼラブル』でした。その時はもう、ただただ感動して圧倒されただけでしたが、いつかあの中に入りたいという思いがこみ上げたのも覚えています。その後何度かオーディションを受け、合格しました。
稽古中は正直ちょっと死にそうで、魂が抜けていましたね。難しい作品で、しかも周りにいるのはこの世界をトップで走っている方ばかり。「できて当たり前」で物事が進んでいく世界なので、置いてけぼりになりかけた瞬間もいっぱいありましたが、何とかついていけたのかな。開幕してからは、毎日楽しんでいます。

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
―全公演の半分以上を終えた今、少し余裕が出てきたということでしょうか?
いえ、慣れることはなくて、見える景色も感じることも毎回違います。これはたぶん、それぞれの役がトリプルキャストになっているのが大きくて、俳優同士の組み合わせも毎回変わるので、良い緊張感と新鮮な気持ちが続いているのだと思います。ヒヤヒヤもしますし。でもそれも含めて、楽しめているのがうれしいです。
Q:革命と恋に揺れ動くマリウスという役を、どう捉えていますか?
一瞬一瞬を生きていて、感情も忙しい。絶頂から絶望まで振り幅が大きくて、人間の全部の感情が詰まっている、やりがいのある役です。この経験は間違いなく、これからの俳優人生の基礎になっていくと思います。
約3年間務めたミュージカル『テニスの王子様』も僕の基礎を作ってくれた作品で、そこで演じた手塚という役はあまり感情を表に出さない、マリウスとはまた180度違う役でした。今回『レ・ミゼラブル』で表現の幅が自分の中で大きく広がったので、これからまた積み上げていって、千秋楽には一体どんな景色が見えるのか楽しみです。

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
―あらためて、『レ・ミゼラブル』がミュージカル2作品目とはすごいですね。
パンフレットを見ると、ほかのキャストの皆さんがものすごい経歴をお持ちの中、僕のプロフィールは文字数が少ない(笑)。シンガーソングライターとして歌も歌っていますが、『レ・ミゼラブル』での歌唱法は当然それとは違い、正式に習ったことはなく理論もよくわかりません。でも、自分のことをスポンジだと思っていますので、どんどん新しいことを吸収していきます。周りのすごい方々に引っ張られながら、一つずつクリアしていっている感じです。
―全編セリフにメロディーが乗るフルミュージカルですし。
音程を正確にとって歌うことも大事ですが、本来“歌う”ということは、言葉では伝えられない思いをメロディーに乗せることで“伝える手段”だと思うんです。ただ上手に歌うだけでは、何も伝わらない。僕はこの作品を通して、言葉をしっかり届けること、歌詞を伝えることの大切さを改めて教わっている気がしています。
Q:仕事をする上で大事にしているマイルールはありますか?
「ぼちぼちマイペースに行こう」ですかね。もちろん頑張るときは頑張りますが、この先もっと忙しくなっても、自分のペースはちゃんと持っておきたいと思います。もともとマイペースな性格ですし。
―頑張りすぎて辛くなった経験が?
たとえばこういうインタビューでも、以前はちょっと頑張ってスイッチを入れていた時期もあったのですが、結局疲れて長続きしなくて。なので、もうこのままでいいかなと(笑)。無理せず、ありのままを答えるようになりました。

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
Q:仕事柄、いつも持ち歩くものは?
……イヤホン、歯ブラシ、くらい。特にありません。
―喉のケアのために何か特別なものを持っていらっしゃるのかと。
特にケアはしてないんです。たぶんそういうケアって毎日するから良いのであって、たま~にすると逆に調子を崩しちゃって。あと、僕の場合ですが、本番のステージ上はものすごく乾燥している環境なので、湿度の高いところに慣れすぎると、喉の調子が狂う感じがするんですよ。すごく繊細にケアしている方もいるし、もちろんやった方がいいのでしょうが、まあ人それぞれかなあと。どうも僕、喉は強いみたいだし。
あ、でも最近たまに蜂蜜をペロッとなめてますよ。効果はよくわかりません(笑)。

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
Q:最近一番うれしかったことは?
『レ・ミゼラブル』出演が決まって情報が解禁されて、たくさんの反響をいただいたときです。すごい作品に携わることができるんだと実感したし、プレッシャーも大きかったです。ファンの方の中には初めて『レ・ミゼラブル』を観劇したという方も多く、僕をきっかけにこの作品に出会ってくれたことが本当にうれしかった。また身内からも、観に行きたい、観に行ったよ、元気にしてる?とかたくさん連絡が来ていて、この作品の大きさをひしひしと感じています。
―プレッシャーを感じたときはどうするタイプ?
楽しんじゃう方ですね。ワクワクの方が強いです。
Q:逆に最近怒ったことはありますか?
うーん、何かあるかな。まあ、すごく無愛想な店員さんを見るとちょっと(笑)。もう少しニッコリしてくれてたっていいのに、もう少し優しくしてよーって最近心の中で思いました。
Q:ところで、FBSに来られるのは久しぶりですね。
はい。『10神ACTOR(テンジンアクター)』として活動していた10代後半のころは、レギュラー番組もあって毎週来ていたので、この会議室もロビーも、全部が懐かしいです。「10神」はメンバー全員男子の10人グループで、男子校みたいで。僕はグループ最年少で、みんなに甘えっぱなしでした。思春期とかぶっていたので、結構ツンツンしてて、言うことも全然聞かなくて。当時のスタッフさんは大変だったろうなと思います。
―福岡を拠点に、テレビや舞台、音楽活動など幅広いシーンで活躍されていましたよね。
15歳のときに「10神」のオーディションに合格して、高校も、自宅があった佐世保ではなく、福岡にある高校の芸能コースに進学しました。毎日佐世保から始発のJRに乗って博多駅まで行き、竹下駅まで少し戻って……今ではとてもできませんが、当時は気合だけで通っていましたね。
―福岡は山田さんにとってどういう場所?
原点です。どこを歩いても、いろんな思い出がよみがえってきて思い入れがあります。第二の地元、僕を育ててくれた街です。

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
「お仕事」のイチ押し
2025年4月23日、メジャー4thシングル『Marry Marry Dance』を配信リリースした山田健登さん。インディーズ時代からメジャーデビュー後も含め、自身で作詞作曲してきた山田さんが、今回初めて楽曲提供を受けた一曲です。
Q:口ずさみたくなるようなキャッチーなメロディーが印象的です。
ありがとうございます。ボーカロイドプロデューサーのニト。くんに提供してもらったのですが、自分には書けない楽曲だなあと思います。ニト。くんはすごくステキな曲を書く方で、僕ももともと大好きで。2024年のツアーのための新曲をニト。くんが提供してくれることになって、とてもうれしかったです。曲のストックがたくさんあって全部聴かせていただいて、これだ!と選んだのが『Marry Marry Dance』。僕がライブで歌っている絵が見えたんですよ。
TikTokの僕のアカウントで、この曲を歌ったライブ映像が100万回再生いかないとリリースできないという壁があったのですが、やっぱり楽曲が良かったんでしょうね。見事ハマって100万回を超えた、その瞬間がめちゃめちゃ気持ち良かったです。
Q:ライブで盛り上がりそうな曲ですね。
僕が作る曲はゆ~ったりした感じが多くて、『Marry Marry Dance』みたいにわーっと弾けられるような曲は、なかなか作れないんです。でもこういう曲も、絶対ライブにはほしいじゃないですか。とても貴重な一曲で、ニト。くんには感謝しています。振り付けも考えてみたので、ぜひ皆さんと一緒に踊りたいです!