収入ゼロの窮地…休園に追い込まれた飯塚の動物園「ピクニカ共和国」奮闘記【めんたいワイド】
緊急事態宣言を受け休業していたのは飲食店だけではありません。
飯塚市にある民間の小さな動物園『ピクニカ共和国』も窮地に立たされていた施設の1つ。
今回は、2020年5月26(火)に放送されたFBS福岡放送『めんたいワイド』から、休園中の『ピクニカ共和国』奮闘の様子と、営業再開日の様子をご紹介します。
『ピクニカ共和国』からのSOS
新型コロナの感染が広がっていった4月。
飯塚市の動物園『ピクニカ共和国』の飼育員さんから番組宛にSOSの連絡が届きました。
その内容は……
「コロナの影響で収入がゼロ。崖っぷちになった…」というものでした。
このLINEの送り主は、2年前にめんたいワイドで密着していた飼育員の多川さん。当時は新人飼育員としての奮闘ぶりを追っていました。
開園20年にして最大のピンチ!休園に追い込まれた『ピクニカ共和国』奮闘記
そんな多川さんが働く『ピクニカ共和国』は動物たちとのふれあいを大事にする、子どもの笑顔があふれる場所です。
以前は家族連れや子どもたちの笑顔でにぎわっていたましたが、新型コロナの影響で休園せざるを得ない状況に。
園内は、いままで味わったことのない静けさに包まれていました。
ピクニカ共和国の動物は約400匹。
休園中でも多くの動物たちのお世話は続けていかなければなりません。
ピクニカ共和国・園長の山本さんによると「もともと今の時期が年間でも1番売り上げる時期なので、大打撃」だと言います。
ピクニカ共和国の収入の約4割が、各地のイベントに動物を連れて行く“移動動物園”でしたが、今はイベント自体が開催されないため収入もゼロ。
開園20周年目にして最大のピンチ! このピンチから動物園を守るために飼育員さんたちは奮闘します。
地元の直売所や農家さんに余った野菜をもらい、少しでもエサ代を削減。地域の皆さんの協力が動物園の存続のためには欠かせません。
もらった野菜はすぐに動物たちの元へ。
協力してくれる人も徐々に増え、今ではエサ代の半分ほどをまかなえているそうです。
しかし、いくら経費を節約しても収入はゼロ……。
そこで「クラウドファンディング」を始め、当面の運営費を支援金でまかなうことを決めました。
クラウドファンデングを始めたことで“ピクニカ共和国ファン”からの声が園のスタッフの元に届き、「守らないといけない」と再認識したそうです。
現在動物園の営業は再開していますが、民間の動物園のため、休園中の損失額が直にのしかかってきます。
そのため、クラウドファンディングでの支援は引き続き募集中とのことです(6月末頃まで募集の予定)。
動物園を守る理由は「動物の居場所を守るため、お客さんの笑顔でいっぱいにするため」
飼育員自らが動物園存続に向けてこれだけ必死になる理由は、「愛する動物たちの居場所を守るため」「再びお客さんたちの笑顔でいっぱいにするため」。
ピクニカ共和国の動物たちのほとんどは、警察署で保護されたペットや他の園では活躍できなかった動物たち。
つまり、行き場のなくなった動物たちの最後の居場所でもあるんです。
イノシシの“ぐうちゃん”も保護された動物。
まだ小さかった頃、道路で弱っているところを飼育員さんが保護。飼育員さんが母親代わりになって育てた動物なんです。
ですが、「弱っている動物をみんなここに連れて来ればいいというわけではない、かわいそうな動物がいると言いたいわけではありません。命の大切さを伝えて、保護される動物が減ってくれるといいなと思う」と飼育員の多川さん。
そんな多川さん、動物たちのお世話をしながら動物園再開の日をひたすら待ちました。
そして、いよいよ5月23日(土)動物園が再び開園しました。
動物園の開園を待ち望んでいたのは飼育員だけでなく“ピクニカ共和国ファン”も
約1カ月半ぶりの開園。
誰よりも開園を待ち望んでいたのは、“ピクニカ共和国ファン”でした。
中には「(動物園に来るまでの道のりで)運転しながら嬉しくて泣きそうになっていた」という人も。
開園が再開した日は、止まった時間を取り戻すように、静かだった園内にはたくさんの子どもたちの明るい笑顔があふれていました。
「お客さんがいると楽しい。お客さんも楽しそうにしてくれていると、それでさらに頑張ろうと思える」と飼育員さんたちも、これからの新しいスタートに気合が入ったようでした。
動物園は、飲食店などと違って生活に直結する場所ではありませんが、私たちにとって“なくてはならない場所”。動物たちの居場所や子どもたちの笑顔を取り戻した『ピクニカ共和国』、これからもその居場所と笑顔を守り続けてほしいですね。(文/ARNE編集部)
【参考・画像】
※ FBS福岡放送『めんたいワイド』(月曜~金曜 午後3時48分~)
この記事は番組放送時点での情報です。