「山本パン」コッペパンサンドに人生を捧げたひとりの職人【古後大輔のふくおかパンライフ#4】
ぱんにちは〜
全国はおろか海外からも注目されている福岡には知っているようでまだまだ知らない名物パンがいっぱい!
素敵な「福岡パンライフ」をテーマに福岡の最旬パンニュースをお届けしていきます!
たかがコッペパンサンド、 されどコッペパンサンド。 誰かの笑顔をつくるために。
高級食パンブーム同様に2019年注目されたのがコッペパン!
最近のコッペパンは具材などがどんどん豪華になりつつ、ベーグルサンドやフルーツサンドブームと融合しはじめているように思える今日この頃です。
今回もそんな全国的なブームとはまったく異なる流れと伝統の味でおいしさ以上のものを届けるために、福岡に誕生した『コッペパンサンド』とそのコッペパンサンドに人生を捧げたひとりの職人の話をお届けしたい。
2018年末、福岡が誇る老舗商店街「高取商店街」に開店した、その名もコッペパンサンド専門店『山本パン』。
営むのは店主・山本泰広さん夫妻。
もともと大手情報サービス会社に勤め、さまざまなプロジェクトで活躍していた山本さんは、ふとこれから先の人生を考えたときに「もっと自分の手で直接誰かを笑顔にできる仕事がしたい」と一念発起することにしたのだとか。
そんなある日の出来事が彼の運命を大きく動かすことに….。
「笑顔のある家族の団らんを応援することを仕事にしたい」という想いを胸に奔走していた山本さんは、ある日、妻から「こんなのがあるらしいよ」と何気なく渡された雑誌の特集記事を読み終わった瞬間!感動したと共に「ここに行くべきだ!」と運命的な出合いを感じたんだそうだ。
その記事に載っていた名店こそがコッペパンサンド界の生きる伝説、岩手県盛岡市の『福田パン』だったのです。
すると山本さんは、何ひとつ伝がないままアポなしで盛岡の『福田パン』本店へ押し掛け、なんと弟子入りを社長に直談判!!!!
その目的を社長から尋ねられ「笑顔のある家族の団らんを応援したい」と自分の想いを正直に伝えると即快諾をいただいたというから驚きだ。(これまで弟子というカタチを取ったことがない福田パン。しかも、まったくのアポなし、初対面、未経験者が弟子入りを許されたこと自体が極めて稀なことなのである)
そこから約1年、福岡から盛岡に毎月泊り込みで修行に行く生活を繰り返し、2018年末にようやく店を開くことができたというわけだ。
わずか数百円のコッペパンサンドから、日々たくさんの会話が生まれ、『山本パン』のおかげで数々の笑顔が商店街に咲いている。
誰かを誘いたくなる、誰かに届けたくなる、そんな「真心」の種が入った山本印のコッペパンサンドをぜひ大切な人と一緒に味わってみてほしい。
毎回静粛な祈りの儀式のように、やさしく、丁寧に生地を成形し、窯入れをする山本さんの真心が、たっぷりとつまっているおかげで、こんなにふっくらと焼きあがるに違いない。
定番人気のこしあんは修行先のものを分けてもらい、大事に使っている。その日の気温や湿度によってパンやクリームの状態が変わるので、ひと塗りごと集中して行なっている。「できたて」ならぬ、「はさみたて」のおいしさは格別なのだ。
ベースのコッペパンにはさむ具材は甘い系、調理系、野菜サンドの3つのカテゴリーに分けられている。
甘い系の場合はコッペパンの開いた口の両面に塗るので、具材(クリーム)は2種類なら片面ずつ、1種類なら両面に塗ってもらえる。2種類の場合はどちらか高い方の料金が適応される。価格はどれも超庶民価格!主流は200円〜330円。高くても490円ほど。ボリューミーかつリーズナブルなのが人気の秘訣だ。
メニュー選びは絶対に迷ってしまうので、大いに迷って楽しもう!
「メニューに写真を一切使わず、あえて文字のみのメニュー札を壁に貼ることで、スタッフとお客様の会話が自然とうまれるようにしています。そんな会話もおいしさのひとつだと信じています」と山本さん。
確かに、おすすめを聞いたり、好みを聞かれたり、そのやりとりもおいしさを生み出す、大切な隠し味なのかもしれない。
山本さんの娘さんがササッとノートに描いたイラストがロゴマークに。
そんな家族エピソードがたくさんあるのも『山本パン』ならでは!(文/古後大輔)
〈店舗詳細〉
山本パン(コッペパンサンド専門店)
住所:福岡市早良区高取1-1-30
詳細はこちら
【画像・参考】
※古後大輔
この記事は公開時点での情報です。最新の情報は各店舗にお問い合わせください。