全国からファンが訪れるベーカリー『シェ・サガラ』!人気NO.1を誇るパンとは?【古後大輔のふくおかパンライフ#20】
ぱんにちは〜!
今日も素敵な「ふくおかパンライフ」をテーマに最旬のパンニュースをお届けします。今回はパン一つひとつに伝統に対する敬意と、生まれ育った土地への想いがたっぷりと詰め込まれた地元密着型ベーカリー『シェ・サガラ』をご紹介します。
パンを自分の子どものように大切に育て、常に進化させる『シェ・サガラ』
やってきたのは久留米市田主丸町。耳納連山の麓に雄大な筑後平野と筑後川を有し、見事な果樹園や田畑が広がる自然の恵み豊かな場所。
今回紹介する『シェ・サガラ』は、そんなのどかな田園風景の中にある地元密着型のベーカリーだ。
開店してから今年で18年目。平日・週末問わず客足が途絶えることがない。
今や県内はおろか全国からファンがやってくる押しも押されもせぬ有名店になったがその地域に根ざすスタイルは何一つ変わっていない。
田主丸の風土から生まれる味づくりと、材料や製法にこだわり、具材なども手作り。『シェ・サガラ』では、たくさんの年月を掛けて生み出してきたパンを、どれも自分の子どものように大切に育て、常に進化させている。
定番人気の名物メニューの数々。
パッションとレモンの風味が効いたチョコブリオッシュにサクサクしたサブレ生地をのせて焼き上げた「エテショコラ」(下の画像左下/270円)、ココア入りのブリオッシュ生地にバルサミコ酢に漬け込んだレーズンを練り込み、仕上げにフランボワーズジャムを塗った「レザンシュール」(右上/270円)、同じ田主丸・うきは地区の名店『リバーワイルド』の豚肉ソーセージを使った「ゆずドッグ」(右下/432円)、同じく名店『十八』の東京Xを使った「十八カレーパン」(下写真/216円)など、地元食材や名産品を使ったメニューづくりにも力を入れている。
画像左下:エテショコラ/右上:レザンシュール/右下:ホットドッグ
カレーパン
「伝統」と「故郷」への敬意と愛情が生み出す、全国のパン好きを虜にする「パンづくり哲学」
その人気の秘訣はオーナーシェフ・相良一公さんがこれまで実践し続けてきたパンづくりにおけるひとつの哲学にある。
それは「伝統」と「故郷」への敬意から生まれるパンづくりだ。
田主丸で生まれ育った相良さんのキャリアは菓子職人から始まった。その後、有名ホテルのベーカリー部門でパンづくりに専念し、自らが理想とするパンづくりを一から学ぶために一念発起。弟子入りを志願し、その門を叩いたのが飛騨高山にある名店『トランブルー』だった。
『トランブルー』のオーナーシェフ・成瀬氏は田舎町のパン屋店主でありながら世界大会の日本代表に初選出されたという地方ベーカリーにとって憧れの存在。世界大会でも活躍し、その実力と功績が高く評価され、現在は後進の指導を業界から任されている名手。
拠点となる飛騨高山は成瀬氏の故郷。冬は大雪に見舞われる人里離れた場所にありながら、『トランブルー』のパンを求めて、全国からパン好きがやってくるという、国内最高峰の実力と人気を兼ね備えた名店である。
そんな名手のもとで日々パンづくりを学び、パン職人としての礎を築いた相良さんは、修行後、師匠と同じく、自らの故郷・田主丸に戻り、地元に身を埋める決意で開業した。
開店当初は「田主丸の外れでハード系やリッチ系のメニューを主体にしたパン屋がやっていけるの?」とよく尋ねられたそうだ。
それから18年。そんな周囲の心配をよそに、地元特産の食材や風土を生かしたパンづくりで着実に力をつけ、地元ファンに支えられながら、人気店への階段を登ってきた。
その原動力となっているのが、相良さんの理想のパンづくりへの飽くなき探究心だ。店を軌道に乗せるために一心不乱に切り盛りしながらも、自らの腕を磨き続け、コンクールの全国大会の出場しては、幾度となく最終選考まで進み「九州に相良あり」と言われるほど高い評価を得てきた。
その出場は地位や名誉のためではなく、少しでも理想のパンづくりに近づくために腕を上達させて、もっと田主丸の人たちに喜ばれるパンをつくりたいという一心から。今ではその技術と想いを学びたいという若き後進のために、あらゆる垣根を越えて未来のパン職人の育成活動を率先して行なっている。
週末だけ販売されている「ムールミッシュ」(756円)や「ロデヴ」(324円)は、大地からそのまま生まれてきたかのような小麦の力強い香りと味わいが特長的。そのほか「Tバゲット」などハード系のパンのおいしさはどれも格別だ。
菓子職人の経験もある相良さんならではの趣向が凝らされた菓子パンやヴィエノワーズは人気ジャンルの一つ。中でも店の不動の人気ナンバーワン「メロンパン」(140円)はまとめ買いする人がたくさんいるほど絶品!
そのすべては幾多の先輩職人たちが積み上げてきたパンづくりの「伝統」と自らを育ててくれた「故郷」への、敬意と愛情から生まれたもの。
だからこそ、その故郷と伝統に対して、「自分にしかできないパンづくりで恩返しをしたい」。
相良シェフのパンにはそんな想いがたくさん込めこまれているからこそ多くのパン好きの心を鷲掴みにして離さないのだろう。(文/古後大輔)
〈店舗情報〉
シェ・サガラ
住所:久留米市田主丸町益生田873-12
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【参考・画像】
※古後大輔
※シティ情報ふくおか
※シェ・サガラ
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