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生理前のイライラ、頭痛などの症状はPMS?自己診断チェックと対策【産婦人科医監修】

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福岡県の西区今宿にある婦人科クリニック『よう子レディースクリニック』で診療にあたっている渋井よう子です。

生理前にイライラしたり、わけもなく不安になったりなど精神面、体調面の不調に悩んでいる人も多いのではないでしょうか? これは一般的には『PMS(月経前症候群)』といわれるもので、多くの女性が抱えているお悩みです。

今回は、『PMS(月経前症候群)』とはどんな症状なのか、チェックリストとあわせてご説明します。また、病院で提案されるであろう治療方法の種類もご紹介しますので、ご自身の身体と向き合うきっかけにしてください。

〈医師プロフィール〉
『よう子レディースクリニック(婦人科・メディカルエステ)』院長の渋井よう子
東京出身で、「人のやさしさ」「食べ物のおいしさ」「住みやすさ」にひかれ、第3子出産後に福岡県移住。女性の健康・美・幸せを軸とした「ハッピーライフサイクル」を理念に婦人科クリニックで産婦人科医として診療にあたっている。

PMS(月経前症候群)とは?

PMS(月経前症候群)とは? 

画像:Shutterstock

『PMS(月経前症候群)』とは「月経前3~10日間の高温期後半に発症するさまざまな精神的あるいは身体的症状で、月経が開始するとともに減弱あるいは消失するもの」とされています。具体的には以下のような症状があります。

・精神的症状:情緒不安定、イライラ、怒りやすい、気分の落ち込み、強い不安感、など
・身体的症状:下腹部の張り、疲れやすい、腰痛、頭痛、むくみ、胸が張る、など

特に精神症状が強い場合を『月経前不快気分障害(PMDD)』と呼び、『PMS』とは区別する場合もあります。これらの原因についてはまだ分かっていない部分もありますが、女性ホルモンの一つで高温期を作る黄体ホルモンが関係していると考えられています。

『PMS』、『PMDD』は幅広い年齢でみられ、月経のある女性の約70~80%が月経前に何らかの症状があるといわれています。『PMS』、『PMDD』になりやすい人の性格的な傾向に関する結論は出ていませんが、日本では思春期にやや多い可能性があり、BMI27.5以上の場合に多くなるという報告もあります(※BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))。

どんな不調がPMSに当てはまる?セルフチェックリスト

どんな不調がPMSに当てはまる?セルフチェックリスト 

画像:Shutterstock

それではここで、当院の実際の診療でも使われる『PMS』診断のチェックリストをご紹介します。

過去3回の月経周期前5日間に、下記の精神的もしくは身体的症状があり、月経開始後4日以内に消失し13日目までに再発しない項目があれば、チェックしてみてください。また、チェックできるのは下記に挙げている注意点もすべて満たしていることが条件になります。

【精神的症状】

抑うつ
怒りの爆発
いらだち
不安
混乱
社会的引きこもり

【身体的症状】

乳房の張り
腹部膨満感
頭痛
関節痛、筋肉痛
体重増加
手足の張り、むくみ

【注意点】
(1)チェックした症状は、月経開始後4日以内に消失し、少なくとも13日目まで再発しませんか?
(2)すべての薬物療法、ホルモン摂取、薬物やアルコール使用がなくとも起こりますか?
(3)症状はその後2周期にわたり繰り返し起こりますか?
(4)日常生活に明らかな支障をきたしていますか?

このチェックリストに1つでも当てはまる項目があれば、『PMS』の可能性があると当院では判断しています。

このように『PMS』の大きな特徴は、毎月の月経前に上記のような困った症状があり、月経が始まるとやわらぐことです。『PMS』かどうかを判断するには、まず症状が出てくる時期を記録し、月経周期との関連を確認してみてください。また、症状が似ている『PMDD』やうつ病などの精神疾患との区別がつきづらいこともあるので、思い当たることがある場合には、早めに専門家に相談しましょう。

PMSは軽減できる?どんな治療法がある?

まずは生活スタイルを工夫する

PMSは軽減できる?どんな治療法がある? まずは生活スタイルを工夫する 

画像:Shutterstock

最後に『PMS』の治療についてです。『PMS』の治療としてはまず、多くの場合、薬に頼らない方法を考えます。

その方法の一つは、「ご自身の困っている症状がPMSの可能性が高い」と理解することです。具体的には、「そろそろ生理前だからイライラが出やすくなるな、ストレスをためないように気分転換しよう」と考えてみてください。このように生理周期に合わせて日常生活を調整していけるだけでも気持ちが楽になるかもしれません。

ストレスをためない方法としては、月並みですが定期的な運動を取り入れることや気分転換・リラックスする方法などを見つけるのが効果的です。また、一般的にはカルシウムやマグネシウムを積極的に摂取し、カフェイン・アルコール・タバコを控えてみると楽になることもあるといわれています。

薬を使った治療方法は大きく分けて3つ

PMSは軽減できる?どんな治療法がある? 薬を使った治療方法は大きく分けて3つ 

画像:Shutterstock

このように生活の工夫をしてもつらい場合には、薬を使った治療方法もあります。方法は大きく分けて3つ。

まず1つ目は排卵を抑える方法です。『PMS』は排卵後の高温期に起こる症状のため、排卵を抑えることで『PMS』症状が改善するといわれています。排卵を抑える薬としては『経口避妊薬(ピル)』がありますが、残念ながら日本では保険適応外です。そのため、保険適応のあるほかの治療法よりも経済的な負担が大きくなります。医療機関でのピルの相場は1シート(約1か月分)3,000円前後、その他施設によって診察料・検査料がかかります。

2つ目は、症状に合わせた薬を使う方法です。頭痛の症状には鎮痛剤、むくみに対してはむくみを取る薬、といった具合です。精神症状が強い場合には精神科の薬を使うことにもなるため、精神科・心療内科の治療が必要となる場合もあります。

そして3つ目は、漢方薬を使う方法です。日本では漢方薬を使うことが欧米よりも多く、中でも産婦人科は漢方を使うことが比較的多い科です。1つ目の治療方法として挙げたピルとは違い、排卵を抑えるわけではないため、排卵に伴う症状をすべて改善できるとは限りませんが、選択薬が多くあるため漢方薬はポピュラーな対処方法となっています。

これらの治療によって『PMS』症状は軽減できることが多く、当院でも快適な状態を維持するために治療を続けている患者様がたくさんいらっしゃいます。『PMS』の訴えで初めて受診されたときから見違えるほど元気になられる患者様を目のあたりできるのは、とてもうれしいことです。

女性の社会進出が進み、家庭以外にも多くのストレスにさらされるようになったことに加え、2020年からは新型コロナウィルス感染に関わる生活不安が続いています。一方、インターネットによる情報収集がさらに容易となってきました。外に出てストレスを発散する方法に制約がある今、インターネットと専門家への相談をうまく使い分け、少しでもストレスを解消できる方法を生活に取り入れていきましょうね。(文/渋井よう子)
※この記事は公開時点での情報です。
※本サイトにおける医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考・画像】
※文/渋井よう子
※日本産科婦人科学会(2020)『産婦人科ガイドライン – 婦人科外来編2020』
※画像/Nattakorn_Maneerat、Antonio Guillem、eakasarn、ORION PRODUCTION、megaflopp / Shutterstock

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