中央区平尾にある大人のパン酒場「フォルモント」へ【古後大輔のふくおかパンライフ#6】
ぱんにちは〜!
今日も素敵な「ふくおかパンライフ」をテーマに福岡の最旬パンニュースをお届けしていきます!
大人のための「パン酒場」。パンライフの新しい扉を開いて!
2年前の晩秋、取材で出会ってからというもの夜になるとふと思い出す一軒のパン酒場がある。正式にはサンドウィッチ・バーと呼ぶのがふさわしいのかもしれない。
その店の名は『VOLLMOND(フォルモント)』。
通称“平尾村”と呼ばれている長屋集落の一角にある、オリジナルサンドウィッチが自慢のパン酒場だ。
そういえば、『いとだパン』(高砂)のような夜営業の個人ベーカリーも福岡では珍しいが、パン酒場、特にサンドウィッチ・バーはそうそう見かけない。
ちなみにフォルモントとはドイツ語で「満月」を意味する。
フォルモントを語る上で欠かせない魅力は、バゲットとワイン、プレッツェルとビール…といった定番のパン×お酒の組み合わせはとはちょっと違う角度で攻めた、その個性的なサンドメニューとお酒のマリアージュにある!
その妙を知ってしまうともう後戻りはできない。そう、パンライフの新しいページが開かれた感じだ。
店主・溝田さんは福岡出身。ワーキング・ホリデーで3年間、ドイツのベルリンで暮らして福岡に戻ってきた。
「貧乏暮らしでしたけどそれなりに楽しくて」
その傍らにいつもあったのが、まちの駅前や路上でおじちゃんがパンにソーセージを挟んで売っている、なんちゃないが心温まるおいしさのホットドッグだったとか。
そして帰国後『バイエルン福岡』で調理を学び、この店を開くことに。
もちろん、ソーセージは修行先の姉妹店『サイラー』のものを使っている。パンは友人のオーナーシェフが営む人気店『E-ji&co.』(大宮)の特製!
でも、目指しているのは特別でも、極上でもない、あのドイツでの「いつも傍にあってほしい」味わい。いつもイメージしているのは、おカネでは買えない、ホッと心落ち着く日常にあるおいしさなのだ。
サンドウィッチ×お酒=ほかには何もいらない幸せ
サンドウィッチを酒の肴に見立てることから生まれる溝田さん独自の味づくりとアイデアが加えられたサンドメニューは見かけこそ普通なものが大半だが、必ずひとクセある、思わずハマッてしまうものばかり。
そこに、誰もがマイペースにゆるりと過ごせる空間と小難しいうんちくは一切ナシのお酒が組み合わさった瞬間、一日の疲れをやさしく癒してくれる最良のパン酒場が目の前に現れるのだ。
サンドを頬張り、口にお酒を含めば、もうそれだけで十分に幸せ。ほかには何もいらないのである。
ちなみにノンアルコールでも全然OK! 大歓迎!
サンドとコーヒーなんて使い方もまったく問題ナシなのだ。しかも、サンドやスウィーツメニューはテイクアウトできる。もうひとつおまけに加えると、週末はテイクアウトカウンターのみ昼から営業しているのでありがたいかぎりなのである。
そういえば、月は夜にそっと顔をのぞかせるが、実は昼も傍にそっとあるもの。そして、月は光と影の割合で、その満ち欠けを表現されているが、実のところ、月自身はずっとまんまるの姿であり、ずっと満たされているのだ。
いつも傍にある幸せとは、まるで月のごとく、見方次第で満たされるもの。
店名にそんな哲学的な意味が含まれているかどうか…そんなどうでもいい話はさておき、このフォルモントというパン酒場はずっと傍にあってほしい!
そんな新しいパンとお酒のおいしいカタチを教えてくれる貴重な店なのである。
関東や関西にはこういう「パンと酒」をテーマにした店がかなり増えてきた。ここ最近ようやく福岡でもちらほらと見かけるようにはなってきたが、パン好き、酒場好きがわんさかいるパン&酒場王国である福岡にしてはまだまだその数は少ないし、それを愉しむ文化もいまいち…
きっとそれはこんな大人の秘密基地のような店を楽しむパン好きや酒好きがいまだ少ないからに違いない。
ぜひとみなさん、まずはフォルモントに足を運んでパンライフの新しい扉を開いてみてください!
今後もますます増えていくだろう「パン酒場」という新しいパンのカタチ。その最旬情報をこれからも見つけ次第お届けしていきます!
名物のホットドッグ(600円)。
極太のバリうまソーセージをトング代わりプチバゲットで挟んで食べる新感覚美味! ソーセージはブレーン(ボイル/ピリ辛)、ブラート(グリル/ノーマル)、ケーゼ(グリル/チーズ)の3種類から選べる。
『鶏レバーパテのプチバゲットサンド』と『赤ワイン』。
店主自らが手づくりしている鶏レバーがスゴイ。もしかしたら、パンは必要ないのでは…とさえ思ってしまうほど。
しかしながら、それは大間違い。誰しもひとりぼっちでは、ひとつになれないのと同じ。ふたつあるから、ひとつになれる。
ポケットにいれていつも持っていたくなるような『鶏レバーパテのプチバゲットサンド』(420円)には情熱の赤ワイン(600円)。
『マッシュポテトとエメンタールチーズのライ麦パンサンド』と『ハイボール』。
チーズというものは個性の食べものである。そのチーズが持つ個性がパンと酒とうまく噛み合ったときにはどんな高級料理も勝てない無敵の強さを手に入れる。
そんなサンドがこの『マッシュポテトとエメンタールチーズのライ麦パンサンド』(380円)にハイボール(500円)のコンビネーションだ。かつてのドイツサッカーのような質実剛健なスタイルだ。
『キャロットラペとツナのバゲットサンド』と『シードル』。
パンとニンジンの間にほんの少しだけ、ちょこんっとのっかったディルが酸味と甘味をうまく馴染ませ、いい仕事をしてくれる『キャロットラペとツナのバゲットサンド』(380円)こそ、肉やパテではなく、さらりと酒場を使う大人のための一品かもしれない。
ここはあえて華やかさを膨らませてくれるフルーティなシードル(500円)で清らかなペアリングを。
〈店舗詳細〉
VOLLMOND(フォルモント)
住所:福岡市中央区平尾2-14-19
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(文/古後大輔)
【画像・参考】
※古後大輔
※シティ情報ふくおか
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