
クリエイターズ・ファイルの作り方公開!? ロバート秋山竜次さんインタビュー【私の推しごと#24】
福岡ゆかりの人に、「お仕事」の話から、個人的に推している「推しごと」の話まで、普段聞けないいろんなことを聞く『ARNE』のインタビュー企画『私の推しごと』。
#24は、みんな大好きロバート秋山竜次さん。2025年10月から「福岡PARCO」で行われる、『ロバート 秋山竜次 presents 10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会 in 福岡』の開催を控えた秋山さんに、お話をうかがいました。

画像:ARNE/撮影:山田圭(futaba studio)
1978年生まれ、福岡県出身。お笑いトリオ「ロバート」のメンバー。コメディ作品を多数生み出すほか、近年は俳優として主役を演じた実写ドラマ『笑ゥせぇるすまん』で主役の喪黒福造(もぐろ・ふくぞう)役も話題となっている。さまざまな現代クリエイターに扮してそれぞれの仕事ぶりや人生観をユーモラスに表現する人気シリーズ「クリエイターズ・ファイル」は2015年4月の開始以来、雑誌・YouTubeを中心に展開され、総再生回数は2億回、チャンネル登録者数は100万人を突破(2025年6月時点)。2025年には『ロバート 秋山竜次 presents 10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会』を全国7都市で巡回開催中。

画像:福岡PARCO
「お仕事」について
Q:いよいよ「福岡PARCO」で『ロバート 秋山竜次 presents 10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会 in 福岡』が行われるということで、楽しみにしています。そもそもはどのように始まった企画なのですか?
もともと雑誌の読み物だったんです。ページを使ってなにかやりませんか?と言ってもらって、「コントでいろいろなキャラクターは演じているけれど、架空の人になりきってインタビューを受けるのはやったことがないな、おもしろそうだな」と思いついて、それが通って。連載だったので月に一度、必ず新たなクリエイターを演じてきたのが、10年目を迎えて、もう117人もやっているっていうんだから、すごいですね。いまではYouTubeがメインみたいになっていますが、もともとは読み物の副産物みたいなものだったんですよ。

画像:ARNE/撮影:山田圭(futaba studio)
―117人、どのクリエイターも「いるいる!」「こういう振る舞いをしそう!」というリアリティに満ちていますが、どんなふうにそれぞれの職業らしい振る舞いを作っていくのですか? 秋山さんの観察眼がすごいのでしょうか?
いや、そのへんは適当にやっています、毎回。全然職業のことも調べない。調べちゃうとおもしろくなさそうな気がして。この10年間、台本はペラ一枚たりともあったことないです(笑)。
―見た目のクオリティもすごいです。
それでいうと、「クリエイターズ・ファイル」は、衣装さんとメイクさんが一番大事。だからまず衣装さんとメイクさんのスケジュールを押さえて、そこから「次はなにをしようか」と考え始めるんです。決まったら、いくつかネットで探したイメージを送ったりして。で、撮影当日の1時間前に入って、初めて服着てメイクして初めて鏡を見て、名前を決めるんです。

画像:ARNE/撮影:山田圭(futaba studio)
扮装して顔見たら、似合う名前が思い浮かぶんで。名前って、似合う似合わないがあると思いません? 風貌がもたらす名前があるんですよ。「あ、これは【熊手もと子】だな」って。大家族の肝っ玉母さんですけど(笑)。

(C)クリエイターズ・ファイル
―それにしてもクリエイターのリサーチをしないのは驚きです!
やりたいことは、1個か2個しかないんです。大家族の熊手もと子さんを例に挙げると、絶対に「胸をたっぷり入れたい」。あと絶対に「末っ子がふすまを突き破ってくる」シーンは入れたい、あとは「月に一回だれかが骨折している」。これだけ。あとは現場でやりながら埋めてるだけ。その場でいろいろ【熊手もと子】さんがやりそうなことをやっていく。
―周りの出演者の方たちは、それに合わせていくのですね。
エキストラさんたちは、マジでなにも聞かされていなくて、その場で「あなたはこの役をやってください」と僕に言われる。戸惑っていても、どんどん続けます。続けちゃう方がおもしろいから。
みんな大変ですよ。普通の現場だったら役名があって、セリフもしっかり入れて、バキバキの準備万端で来るわけじゃないですか。それなのに「クリエイターズ・ファイル」では「あたりさわりないシャツを着てきてください」しか言われない。どんな役やるかわかんないから。ただ最近はみんな慣れてきちゃったからな(笑)。

画像:ARNE/撮影:山田圭(futaba studio)
Q:117人ものクリエイターを演じて、できるようになったことや得意になったことはありますか?
もう気分はプロダクションの社長ですよ。いやマジで。だいたいどんな業界のクリエイターもいるんですよ。例えばファッション業界からオファーが来れば、デザイナーの【YOKO FUCHIGAMI】とか、

(C)クリエイターズ・ファイル
モデルの【アルセーヌ・ダルタニアン】がいますし、子役のオファーがあれば、劇団えんきんほう所属の天才子役【上杉みち】くんを出動させます。

(C)クリエイターズ・ファイル
フェスのお声が掛かれば、ミスターアジアの4冠に輝いた【ペリー・キー】なら曲も持っていますし、全然大丈夫。

(C)クリエイターズ・ファイル
この前はワークショップに呼んでもらって、ジュエリーデザイナー・アルミハークの代表【SATORU IWABUCHI】として、アルミ箔でドクロを作りました。空き時間に作っていたら、本当にどんどんうまくなっちゃって。ロバート秋山だけじゃない、活きる場所が増えました。もう無限です。
―これは必ずする、またはしないと決めていることはありますか?
ルールとして、アナログでやることだけはみんなで決めています。合成とかの技術に頼り始めたらなんでもできちゃうんで。カメラマンさんと衣装さんとメイクさんとみんなで作り上げています。
【上杉みち】くんはデジタルではなく、遠近法で小さくなっていますし、双子のカリスマインフルエンサー【カマタマちゃん】もデータ上で2人にするんじゃなくて、鏡に写してカメラに動いてもらう。

(C)クリエイターズ・ファイル
パリコレ4人衆のモデル【アルセーヌ・ダルタニアン】に至っては、この体でモデルになれるわけないんで、黒で体のラインをえぐって、黒幕の前でしか仕事しなければいいかって(笑)。

(C)クリエイターズ・ファイル
クリエイティブなイメージの真逆で、全部アナログです。

画像:ARNE/撮影:山田圭(futaba studio)
「お仕事」のイチ推し
Q:今回は久しぶりに福岡PARCOでの展覧会ですね。どんな展覧会になりそうですか?
前回7年前に『ロバート 秋山竜次プレゼンツ クリエイターズ ・ファイル祭』として開催した時は、まだ50人に届いていませんでした。それがいまや117人ですから、展覧会を作るのは大変でした。

画像:ARNE/撮影:山田圭(futaba studio)
まずシンプルに117人が並んでいる様子を見たいなと思って、117人がずらりと並ぶ部屋「クリエイターの巣」を作りました。圧巻ですよ。ほかにもお客さんが【YOKO FUCHIGAMI】の専属モデルとなってランウェイを歩けますし、天才子役・上杉みちくんと一緒に遠近法でお芝居ができる「みちくんのいえ」も注目ですね。
―来場者が体感できる展覧会なんですね
そうなんです。万博に負けないようにぎゅうぎゅうに詰め込みましたから、“胸やけ”すること間違いないです。

画像:ARNE/撮影:山田圭(futaba studio)
自分の悪いクセで、コントもそうなのですが、余白を全部埋めてしまいたくなって、結局メインがよくわからなくなる、みたいなことがよくあるんです。いま展覧会もその状況になっています。気づいてほしいところに気づいてもらえないから、矢印で誘導したりして。本末転倒です。
自分で言うのもなんですが、一人のお笑い芸人がやっていることを忘れちゃって、客観的に「この人、いいよね」と思った後で、「いやオレだし!」みたいになっています。普通のアーティストでは見られない変わった展示になっているので、ぜひ会場で楽しんでください。
■「ロバート 秋山竜次 presents 10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会 in 福岡」開催概要
会場 :福岡PARCO 本館5F・PARCO FACTORY(福岡県福岡市中央区天神2-11-1)
会期 :2025年10月3日(金)~10月19日(日)10:00~20:30 ※入場は閉場の30分前まで ※最終日18時閉場
入場料:一般1,200円、中高⽣1,000円、小学⽣700円 ※入場特典付き※未就学児無料
主催:PARCO
企画制作:CTB/YOSHIMOTO KOGYO/SUNNYES/PARCO
協力:SUPER MARKIT/BSよしもと
制作協力:SUNBOARD
Graphic Design:SHINTARO KIRA
公式サイト:https://art.parco.jp/parcofactory/detail/?id=1788(リンクはこちら)
