
有名キャラクターたちの生みの親!パントビスコさん独占インタビュー【私の推しごと#18】
福岡ゆかりの人に、「お仕事」の話から、個人的に推している「推しごと」の話まで、普段聞けないいろんなことを聞く『ARNE』のインタビュー企画『私の推しごと』。
#18は、SNSの総フォロワー数が80万人を超える、久留米出身のクリエイター、パントビスコさんの登場です。

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
クリエイター。インスタグラムでの作品投稿が話題となり、現在のフォロワーは約51万人。代表的なシリーズに「犬のぺろち」「カオス絵日記」「やさ村やさし」等があり、作品総数は1万点を超える。 これまでに6冊の著書を出版。『Numero TOKYO』『VOCE』等では連載を抱えている。企業や自治体との多種多様なコラボを手掛けており、ホテル『クロスライフ博多柳橋』では『犬のぺろち』とのコラボレーションした『おかえり、ぺろちのお部屋へ』プランを手掛けるなど、幅広く活躍中。『九州電力』とARNEのタイアップコンテンツでもイラストやマンガを多数描き降ろした(下画像)。「くるめふるさと大使」を務めている。
お仕事について
Q:パントビスコさんはご自身の仕事を「クリエイター」と名乗られていますが、どんなことをされているのですか?
イラストを書いたり、文章やキャッチコピーを書いたり。映像のディレクションやプロデュースも行うので、それらを一つに収める言葉を考えて、「クリエイター」と名乗っています。西鉄バスさんの『ババ・バスオ』というキャラクターを作ったのですが、先日はそのテーマソングの作詞もしたんですよ。
Q:主な発表の場であるInstagramのフォロワー数は、現在51万人(2025年4月時点)。どういう経緯で、今のような活動をするようになったのですか?
もともとイラストを描くのが好きで、チラシの裏に絵を描いたり、学校で友達に見せたりしていました。あと街の変なモノを採集していた書籍『VOW』が大好きだったので、自分でもおもしろいと思ったものの写真をたくさん撮りためていました。そのほか、同年代の子たちがあまり読まないちょっと変わったさまざまなものから影響を受けてマンガやイラストを描き、Instagramのアカウントを作って載せ始めたのがきっかけでした。
当時のインスタって、ラテアートやフィルターで加工した花など、かわいい世界観を共有する場だったので、私の投稿はよくも悪くも目立ったのだと思います。最初友人35人だけだったフォロワーが少しずつ増えて、いまではパントビスコとしてお仕事ができるようになるくらいになりました。

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
-なぜ多くの人に支持されているのだと思いますか?
物事の切り取り方って、いろいろありますよね。人によって、文章力があるとか、写真がうまいとか。私は、世の中には自分より絵が上手な人は山ほどいるので、自分なりのアイデアと絵を組み合わせて発信したいと思っています。「自分はこう思うよ」「これおもしろくない?」という感覚に、勝ち負けはないので。
ただしSNSで活動しているということもあって、特定の誰かが嫌な思いをしないように気をつけています。たまに攻めたことや尖ったことを言いたくなると、「これは誰かを傷つけないかな?」と一度立ち止まって考えるようにしています。自分の考えに自信をもって説明できることだけを発信するのが、マイルールです。
-投稿を見ていると「あるある!」とか「いるいる!」という人や物事がいっぱい出てきて、思わず共感してしまいます。
発信しないまでも同じようなことを感じている人たちが大勢いるから、おもしろがってもらえるのでしょうね。それを私はたまたま毎日発信しているだけで、みんなも気づいていることはきっとたくさんあると思います。
-コメント欄が活発なのも特徴ですよね。パントビスコさんからも「どう思う?」という投げかけがあって、すごく双方向的だなと思います。
バンドでいうコール&レスポンスのような。やっぱりリアクションがもらえるのはうれしいです。せっかくなら、作品を一緒に見てもらえる仲間になってもらえるといいなと思って発信しています。
実はもっと広い話をすると、ほかのタレントさんやクリエイターさんにも、「いいね」という気持ちをたくさん伝えてほしいんです。私たちクリエイターは、応援されるとめっちゃうれしいんだよということを知ってもらえたら、ほかの人の応援もどんどんしてくれるかなって思うんです。
Q:自分もなにか発信したいと思っている人は大勢いると思いますが、毎日コツコツと続けることは大変ではありませんか?
たとえ周りの人から反応がなくても、気にならないくらい好きなことを続けるってことでしょうか。私は絵が好きだから、人からなにを言われても気にならないし、自分で上げたいから作品をアップしています。たまたまシェアしてくれたり、反応してもらえたりすると、それがエナジーになります。
世の中「好きなものを仕事にしないほうがいいよ」と言う人も多く、それも一理ありますが、私の考えは逆です。好きなことを仕事にすると、人生の中の“好きの割合”がぐっと増える気がします。だからいますごく楽しいです。
成り行きでいまの仕事に就いている人もいると思います。なんか気づいたら“○○な役割”をやらされていた!とか。でもどんな場合でも、仕事の中にどこか好きなポイントが見つかればいいですよね。

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
Q:お仕事を経て、「こういうことができるようになった!」ということはありますか?
SNSって、いろんな人が見てくれるところに夢があります。コンビニの店員さんも工事をしている人もお医者さんも芸能人もいる。ふだんの自分では関われないような人とコンタクトが取れるのがおもしろいです。
Q:お仕事の必需品はありますか?
もちろんあります。「スマホ」と「スケッチブック」と「文房具」です。この3つさえあれば、世界中どこにいても作品を発信することができます。
-スケッチブックやペンのこだわりはありますか?
スケッチブックは、マルマンのものを使っています。描き終えたスケッチブックがアトリエに135冊あります。単純計算で1万3000枚くらい描いた計算になります。絵日記はジャポニカ学習帳に描くので、合わせると1万6000枚くらいいきそうですね。ペンは万年筆と細めの筆ペンと太めの筆ペンで描いています。
-こんなにSNSを使いこなしているのに、描くのはデジタルじゃないんですね。
よく言われます。いまや小学生でもiPadにサラサラと描く時代ですもんね。自分はアナログが好きなのと、あとはデータが飛ぶのが怖くて。火事さえ起きなければスケッチブックは永遠に残るので、実物は残しておきたいんです。それに作品が積み重なっていくことの喜びもあります。
Q:今後のお仕事での目標を教えてください。
私はある意味SNSきっかけでいろいろな仕事をやらせていただいているわけですが、昔ながらの美術の技法、たとえば油絵や水彩、彫刻の手法を用いる人たちとはちょっと透明な壁を感じています。もしかするとあちら側から見たら、こちら側はちょっと軽く見えているかもしれません。だから、そんな人たちをびっくりさせるような仕事がしたいです。
どういう方法があるかはまだわかりませんが、おや、なんだかヘンテコな画家がいるぞ!と感じてもらい、若い世代の人たちが「入口がもう一つ増えた!」と思ってくれたらうれしいです。
もうひとつは、動画という切り口でアプローチしていきたいです。いまの自分の仕事は日本語に依存しているところがあって、なかなか国境を超えられていません。もっと非言語で人々に伝わるような動画で、世界中の人たちに見てもらうことが目標ですね。
(下の写真は、ARNEの「A」ポーズ)

画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)
「お仕事」のイチ推し
Q:これからパントビスコさんに入門したい!という人は、なにを見ればいいでしょう?
やっぱりまずはInstagramを見てほしいです。このあとお話しするキャラクター『ぺろち』(写真)だけでなく、いろんなキャラクターが雑多に生息しているのが、私のインスタです。本当にいろんなコンテンツがあるので、気に入っていただけるものがなにかあるかもしれません。

画像:パントビスコ
おもしろいことに、パントビスコ宛にお仕事を発注してもらう際に、「ぺろちに、この広告をやってほしい」とか「暮ヤスコちゃんに、化粧品のイラストになってほしい」など、キャラクター指名でいただくことがすごく多いんです。さながら僕は、芸能事務所の社長、みたいな感じかもしれません。