仕事&恋愛…悩み多きあなたのために選ぶ!「2020年公開のベスト映画」5選
今年も年の瀬。大変だった2020年が終わります。みなさん、本当にお疲れさまでした。
今年最後の連載では、皆さんお待ちかね(?)、2020年ベスト映画を発表します!
といっても、今回ご紹介するのはただのベスト映画ではありません。仕事や恋愛、家族に子育て、人間関係……とさまざまなミッションに奮闘する世代が多いARNE読者におすすめしたい、ここだけのベスト映画から5作品をピックアップしてご紹介します!
今まさに劇場公開中の映画や、すでに配信やレンタル開始されている映画もありますので、年末年始のおともに、ぜひチェックしてみてくださいね。
それでは、いざご紹介!
1:ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(8/12公開)
〈作品情報&おすすめポイント〉
まずは、今年一番のご機嫌ムービーのご紹介です。
真面目に勉強だけをしまくった高校生活のラスト。来る大学生活に向け「勝ち組よ!」と意気込んだのも束の間。遊び呆けていたライバルたちも、ちゃっかり一流大学に合格していたことが判明。「やばい! 勉強しかしてねえ!」。高校生活を取り戻すかのように最後の夜のパーティーに繰り出すが……!?
予告にもある、主人公たちの登場シーンが最高におバカで愛らしく、ご機嫌な予兆で始まる本作。どうしようもない下ネタもスクールカーストのアレコレもありますが、この映画には悪人が登場しない。変なやつも、おバカなやつも、勉強ばっかりしてきたやつも、それぞれに悩みがあるし、それぞれにいいところがある。どこまでも抜けがよくポジティブな、新しい青春映画の登場です!
【参考】
※『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』/2021年2月26日 Blu-ray&DVD発売・レンタル同時リリース/発売元:ロングライド
2:はちどり(6/20公開)
〈作品情報&おすすめポイント〉
こちらは韓国から、大傑作の登場です。『パラサイト 半地下の家族』が快挙を成し遂げた今年の韓国映画界。そんな隣国から、「もはや巨匠」なんてうたわれるキム・ボラ監督の長編デビュー作です。
「自身の体験を映画化した」という本作は、1990年代韓国での女子中学生の日常を描いた作品。「家族や社会のなかで、最もとるに足りない存在として扱われる存在だからこそ描きたかった」という監督の言葉通り、はちどりのように懸命に羽ばたこうとするけれど、周囲に声が届かない主人公のもどかしさを描きます。それは、私たちがいつかどこかで経験したことのあるようなジレンマ。
一気に畳み掛けるクライマックスの衝撃と劇伴音楽のすばらしさも相まって、強く心に残る一作となりました。
【参考】
※『はちどり』/配給︓アニモプロデュース、配給協⼒︓ギャガ GAGA★/PG12
3:ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語(6/12公開)
〈作品情報&おすすめポイント〉
こちらはアメリカから。今や現代の女性監督の代表格となったグレタ・ガーウィグ監督作品。米国アカデミー賞では6部門にノミネートされるなど、豪華キャストとともに大変話題となった一本といえます。
日本でも広く知られる物語を、現代風かつ“グレタ・ガーウィグ監督らしい”解釈で映画化。これまでにも『レディ・バード』など現代女性のリアルを描いてきたグレタ監督ならではの大胆な構成アレンジと、過去の映画化作品とは異なる切り口で、4姉妹それぞれの生き方を共感を持って描いた作品。
観賞後、思い出しては胸を熱くするのが、原作者ルイーザ・メイ・オルコットの想いを汲んだというラスト。1868年当時、「大衆受け」のため自分の意図とは違う物語に書き直さざるを得なかったという物語の顛末を、現代だからこそ、そしてグレタ・ガーウィグ監督だからこそ描ける自伝的ラストに脚色。グレタ・ガーウィグ監督が過去作でも自身を投影してきた、主演シアーシャ・ローナンが見せるすがすがしい表情に胸を打たれる名シーン。必見です。
【参考】
※『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』/ブルーレイ&DVD(2枚セット)発売中:4,743円(税別)/デジタル配信中 /発売元・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
4:37セカンズ(2/7公開)
〈作品情報〉
生まれたときに「37秒息をしなかった」ことで障害を抱えた主人公ユマが、自我と自立の一歩を踏み出し、成長していく姿を描いた映画『37セカンズ』。
なにより自身も身体に障害を持つ当事者であり、初演技にして主演を張った佳山明さんの演技が圧巻。家族との関係をリアルに描きながら、一人の女性として自立したいと願う主人公の挑戦をファンタジックかつポジティブに描いた作品です。
夢追う女性の成長譚としてはもちろん、とりわけすてきなのが、主人公ユマにまだ見ぬ世界へ踏み出すきっかけをくれる女性たちの存在。渡辺真起子さん演じる障害者を中心にサービスを行う風俗嬢、板谷由夏さん演じる成人漫画雑誌の編集長……それぞれの仕事と生きざまを通して、ユマに女性性への気付きや人間的成長をもたらします。
監督・脚本はアメリカで映画を学んだHIKARIさん。オリジナルストーリーにこだわり、「ポジティブなメッセージが大事」と語る監督の次回作が早くも楽しみになる一本でした。
【参考】
※映画「37セカンズ」/順次公開中/配給:エレファントハウス、ラビットハウス
5:私をくいとめて(12/18公開)
〈作品情報&おすすめポイント〉
31歳女なわたしがおすすめします! 「31歳おひとりさま崖っぷちの恋」を描いた最新日本映画。2020年12月18日に公開されたばかりです。
みんな大好き・のんさんが、“こじらせ女子”も通過した末に、脳内相談相手を爆誕させ、おひとりさまライフを楽しんでいたのに、うっかりまさかの恋をして!?
全女性のあるある体験談を、これでもか!というほど詰め込んで、どこから書けば良いか……共感しかないエピソードがぎゅぎゅっと詰まった本作。ジェンダーやフェミニズムのお話も分かりみが深すぎますが、中でも胸がぎゅっとなるのは、のんさん演じるみつこが橋本愛さん演じる親友を訪ねてイタリアの自宅で過ごすシーン。親友だからこそ言えなかったあれこれをやっとの想いで伝えた瞬間「ざっぱーん」と涙がこぼれ落ちます。
社会をサバイブせねば!と思わず鎧をつけ高くなっていた壁を外し、心を開く勇気をくれる、共感に溢れた作品です。大九明子監督前作、『勝手にふるえてろ』がお好きな方にとっては続編のようにも楽しめるおすすめの一作です!
【参考】
※『私をくいとめて』/ユナイテッド・シネマ・キャナルシティ13ほかにて劇場公開中 /配給:日活
以上、「ARNE読者にオススメしたい2020年公開のベスト映画」5作品をご紹介しました!
ARNEで連載を始めた今年ですが、「一人でも多くの人がすてきな映画に出会えるような、そんな記事を書くぞ!」と意気込んだと同時にコロナがやってきました。本来であれば、最新作を観に劇場へ!と声高にお伝えしたかったのですが、諸々の状況を鑑みて、今年は旧作映画を紹介する1年となりました。
今日ご紹介した映画は、気づけばすべて女性監督による作品です。読んでくださっているみなさま、お気に入りの一本は見つけていただけましたでしょうか? 年末年始の楽しいお供となれば幸いです。
2021年もすてきな映画とたくさん出会えますように! みなさんどうぞよいお年を!(文/石渡麻美)
※この情報は公開日時点での情報です。
【参考・画像】
※文・画像/石渡麻美(福岡映画部)
※画像/ラビットハウス、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、アニモプロデュース、ロングライド、日活
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