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ピルを飲むと生理痛が軽くなる?産婦人科医が解説する「ピルのメリット・デメリット」

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福岡県の西区今宿にある婦人科クリニック『よう子レディースクリニック』で診療にあたっている渋井よう子です。

生理痛や生理不順に悩む方の中には、「ピル」を飲むことを検討している方も多いのではないでしょうか。しかし、自分の身体にどんなふうに作用するのか分からず、なかなか踏み出せない方や副作用が心配という方も少なくないでしょう。

そこで今回は、「ピル」に関するメリットやデメリットなどを、産婦人科医の視点から解説します。ぜひ参考にしてくださいね。

〈医師プロフィール〉
『よう子レディースクリニック(婦人科・メディカルエステ)』院長の渋井よう子
東京出身で、「人のやさしさ」「食べ物のおいしさ」「住みやすさ」にひかれ、福岡県移住。現在、女子高生、女子中学生の母。女性の健康・美・幸せを軸とした「ハッピーライフサイクル」を理念に婦人科クリニックで産婦人科医として診療にあたっている。

ピルってなに?

ピルってなに?

画像:Shutterstock

そもそもピルとはどんな薬なのかご存知ですか? ホルモン薬や避妊薬だと認識している方が多いと思います。

今回はもう少し踏み込んで、ピルについて詳しくご説明したいと思います。

ピルとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)という、2種類の女性ホルモンの配合剤のことをいいます。1錠あたりのエストロゲン含有量が多いものから高用量、中用量、低用量、超低用量のピルに分けられ、医師の診断と症状により、処方もそれぞれ違っています。

その中でも、ホルモン量が少ない低用量ピルは、避妊薬としてや、生理周期を整える目的で長い間処方されていました。(※ともに自費診療)

2008年以降は、子宮内膜症も含む生理痛の治療薬(※保険診療)としても、ピルが処方されています。

ピルのメリット

ピルのメリット

画像:Shutterstock

月経量の減少・生理痛の緩和・生理不順の改善

生理痛のときに、多くの方が使用されるのは鎮痛剤ではないでしょうか。

しかし、鎮痛剤では痛みが取り切れない方もいらっしゃいます。

低用量ピルは排卵を抑えて生理の出血量を減らす効果が期待できるため、生理痛の緩和に繋がりやすいです。

また、ピルを内服することによって、体外から女性ホルモンの分泌がコントロールされるので、生理不順の改善にも効果があるといわれています。

PMS(月経前症候群)の症状軽減・生理前の肌荒れ防止

排卵を抑える効果があるピルは、生理前~生理開始2日頃にだけみられる、抑うつ・頭痛・眠気・イライラなどのPMS(月経前症候群)特有の不調に対しても効果が期待できます。

また、生理前の肌荒れを予防したい方や、生理日をずらしたい方にも効果が期待できるでしょう。

PMSでの処方はすべて自費診療となります。

ピルのデメリット

副作用が出る場合がある

ピルを内服した際、最も重大な副作用に「血栓症のリスク」があります。

血栓症とは、血管内に血の塊(血栓)が詰まる病気で、過去にピル内服中の血栓症死亡例がありました。これをきっかけにピル処方に対するガイドラインが作成され、医師の処方のもとであれば安心して内服できる薬となっています。

ガイドラインでは細かい取り決めがあるため、血栓症のリスクが高い場合には、ピルが内服できないこともあります。

このほか、飲み始めて1~2か月の時期に、頭痛・吐き気・不正出血などが起こる場合がありますが、飲み続けることで症状は改善する場合が多いです。

ピル処方をお考えの方は、必ず医師に相談し、医師の管理のもと内服しましょう。

どのくらいでピルは効くの?

ピルの効きめ

画像:Shutterstock

生理痛の治療薬として服用し始めた場合、早い方であれば飲み始めて1か月後の生理から、多くは2~3か月後ぐらいから、生理痛の緩和や生理不順の改善を実感できるといわれています。

安定してくるまでに時間がかかる場合もあるので、様子を見ながら服用しましょう。

飲み忘れたらどうしたらいい?

ピルは薬の効果が長く続かないため、毎日決まった時間に飲む必要があります。

飲み忘れてしまった場合の対処法は、ピルの種類によって違うことがあるので薬の説明書を確認しましょう。

一般的には飲み忘れに気づいた時点で1錠、いつも通りの決まった時間にもう1錠飲むことが多いです。

2日以上の飲み忘れの場合では、生理痛目的なのか、避妊目的なのかで、対処の仕方が変わります。

いずれの場合も、かかりつけの医師に相談しましょう。

ピルの購入はどこでできる?どのくらいの費用がかかる?

ピルの費用

画像:Shutterstock

前述の通り、ピルには副作用のリスクがあるため医師による処方が必要です。

費用については使用する目的によって区別されています。

一般的に、生理痛緩和目的で使うピルが保険診療、避妊・生理を整える目的で使うピルが自費診療となる場合が多いです。

保険適用の場合は薬代の2〜3割が自己負担になり、保険適用外の場合、1シート(約1か月分)3,000円前後となります。どちらも受診した場合は診察料や検査料がかかります。

さらに、保険治療薬としての処方において、先発医薬品かジェネリック医薬品かどうかでも、1か月あたりの費用が数千円違ってくる場合があります。どの治療がベストなのかを医師と相談し、処方してもらいましょう。

使う目的も診療にかかる費用もさまざまな「ピル」。当院にも日常生活に支障が出てしまうほどの生理痛やPMSでお困りの女性が多く通院されています。ピルを含めたホルモン治療はコントロールがつくまでに数か月かかる場合がありますが、治療して結果が出る方が多いことは、日々実感しています。この記事を読まれてお悩みのことが「ピルで解決できるかもしれない」と感じた方は、ぜひ医師にご相談くださいね。(文/渋井よう子)
※この記事は公開時点での情報です。
※本サイトにおける医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

【参考・画像】
※文/渋井よう子
※公益社団法人 日本産科婦人科学会/一般社団法人 日本女性医学学会(2020)『CO・LEPガイドライン 2020年度版』、日本産科婦人科学会(2020)『産婦人科ガイドライン – 婦人科外来編2020』
※画像/SeventyFour、ArtFamily、Studio Romantic/Shutterstock

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