“もっちもち”お肉みたいなこんにゃくに各方面絶賛!意外な経歴の職人の強すぎるこだわりとは?
地味~なこんにゃくに命を懸ける、こだわり職人の意外な過去とは? こだわり抜いて作ったこんにゃくの味は?
2021年1月12日(火)に放送されたFBS福岡放送『めんたいワイド』のコーナー「人生コレに賭けてます」からご紹介します。
情熱はすべて「こんにゃく」へ!まさかの職業から転身を果たした「こんにゃく職人」
おじゃましたのは、久留米市田主丸町にあるこんにゃく店『みのう屋』。店内は、まるでスイーツ屋さんのような雰囲気です。
こちらが店主の古賀さん。「2018年10月にオープンしました」とのこと。
では、こんにゃくのお店をする前、古賀さんは何か別のことを?
「はい。愛知県で車を作っていました」
えー! まったく違うお仕事!
3年前まで自動車メーカーに勤務していた元サラリーマンの古賀さんは、今では、こだわり満載のこんにゃくを作っているそうなのですが……。
こんにゃく作りは「ワラを燃やすこと」から?
古賀さんはいそいそと外へ……。
「まずはワラを焼いて灰にします」
というわけで、ワラを燃やして“灰汁(あく)をとる”という作業がスタートしました。あっという間に大きな炎が!
「白くなってしまったらダメなので、ワラが燃えすぎないように注意しています。ずっと目が離せません」
ほどよい感じに燃やし終わったら、真っ黒になったワラを水に浸け、ろ過して灰汁を抽出します。
抽出した灰汁には炭酸カリウムが豊富に含まれているので、この灰汁を使うと、臭みがなくて柔らかい食感のこんにゃくが作れるのだそうです。
この灰汁を使って、次の工程へ。
先ほどの灰汁に、こんにゃく芋を薄引きした粉と柚子の皮を混ぜ、しっかりと混ぜます。
ところで、古賀さんの素材へのこだわりはどんなところでしょうか?
「こんにゃくって、ほとんど水なんですけど、さっきの灰汁とりという工程もあるように、ほぼ灰汁なんです。だから素材という意味ではほとんどを手作りしています。柚子は農薬不使用のものを使っています」
では、品質へのこだわりは?
「食感や味はいつ食べても同じにしたいので、そうできるように気を使っています」
熱しながら混ぜると、とろみが出てきて、次第にこんにゃくっぽくなってきました。まんべんなく熱を加えることで触感が均一になります。
見慣れたこんにゃくとは違うこの透明感も、わら灰じゃないと実現できないそうです。
時間をかけて冷やし固めます。そして完成したのが『さしみこんにゃく』!
透明感のあるこんにゃくに、醤油をつけていただきます。
「うっわ。もっちもち!」「ん~! もちっと感があるうえに、トゥルっと感もあって、最後に舌にいい意味でまとわりついてくる。これはおいしい!」とリポーターたちも絶賛。
オンラインショッピングでの評判も上々です!
なぜサラリーマンからこんにゃく職人に?
田主丸出身の古賀さん。就職で愛知県へ行き、そこで結婚するなど人生は順調そうに思えましたが、就職から25年後の45歳のときに、ふと思うことがありました。
「退職される先輩やいろんな人を見ていて、自分がその年齢になったとき、どうなんだろうって」
漠然と将来への不安を持ち、会社員としての将来が描けていなかったそんな古賀さんに、ある転機が訪れます。
「今食べてもらった、さしみこんにゃくを作るお店が佐賀にあって。うちの母親が買いに行ったところ、お店は閉まっていて、『病気でお店を辞めた』というタイミングだったんです」
「こんにゃくって地味じゃないですか。この地味さで生き残っているのがすごいなと思って。それで、教えてもらえませんか?って」
お店を閉めた店主に弟子入りをお願いすることに。ちなみに、その頃も古賀さんはまだ愛知在住でした。
子どもの頃から食べていた味を残すべく、会社を辞めた古賀さん。佐賀の『味善』店主・井上さんに弟子入りしました。
古賀さんからお店の味を継承してくれると話があったとき、『味善』の井上さんはどんな想いだったのでしょうか? 井上さんに聞きました。
「私としては、病気で断念したんですよ。うれしかったですね」
古賀さんの作るこんにゃくの味については「かなり上手になって。でも最初からうまくいっていましたよ」とベタ褒め!
感想を聞くのは初めてだったという古賀さんは感激していました。
地元にも愛されている、こだわりのこんにゃく
師匠の井上さんにも認められた古賀さんの作るこんにゃくは、地元の人々にも愛されています。
地元の『道の喫茶もり辺』の店主・飯田さんは、2年前から古賀さんのこんにゃくに惚れ込み、ランチの豚汁や煮物に使っています。
古賀さんも今回、そのランチを食べてみました。まずは煮物から。「プリプリしておいしいですね」と古賀さんも納得!
お客様からの評判もいいという、古賀さんの作るこんにゃく。『もり辺』店主の飯田さんが思う魅力とは、どんなところでしょう?
「しっかりと味を極められるところ。熱心にされるところ。研究熱心ですしね」と大絶賛です。
オープン直後の苦境を救った第二の師匠の言葉
今では、地元に愛される古賀さんと手作りこんにゃくですが、オープン当時は苦境だったと言います。その当時の古賀さんは、「トマトこんにゃく」やタピオカの代わりにこんにゃくを使った「こんにゃくミルクティー」を作るなど、迷走気味でした。
そんなとき、またまた出会いが!
「いろんな試作品を作っている中で、熊本で『水本商店』を営む水本さんという第二の師匠に出会い、アドバイスをもらいました」
それは、「普通のこんにゃくを作った方がいいよ」というもの。こんにゃく芋からこんにゃくを作るというものでした。
一体、水本さんは、なぜ古賀さんにそのようなアドバイスをしたのでしょうか?
「いろんなこんにゃくがありますが、こんにゃく芋100%で、何も足さない、なにも引かないこんにゃくって、実はそんなにないんですよ。だからそれをまずやってみて、お客さんを振り向かせたいなと思いました」
そのアドバイスに沿って古賀さんが作ったこんにゃくを、水本さんは食べたそうで………
「合格のサインを出しましたよ」と第二の師匠・水本さんも絶賛!
「ありがとうございます。なんか送っときます(笑)」と古賀さんも照れ笑いしていました。
これがこんにゃく芋。こんにゃく芋はあえて少し皮を残し、ミキサーにかけると風味が強くなります。
ミキサーにかけて粘りがでたものを成型して、ゆでていきます。
大きな鍋のフタを開けるとパンパンに膨れたこんにゃくが。存在感がすごい!
今ではめずらしい生芋こんにゃく『丸こんにゃく』の完成です!
脱サラ職人が人生をかけた『丸こんにゃく』。そのお味は? 古賀さんが自ら、特別におでんにしてくれました。
試食したリポーターたちは、「ん! うんめー! (まるで)肉やん!」「ウマい! 今までのおでんのこんにゃくと全然食感がはちがう。かえしが違うし、ざくっと切れるので口の中でもたつかない」と感激!
自動車メーカーを脱サラして職人に…家族の思いとは?
自動車メーカー勤務のサラリーマンから一転、こんにゃく職人に。ご家族・奥様の思いも気になるところです。
「最初はびっくりしたんですけど……やると決まったからには頑張ってもらいたいです」
旦那さまの作るこんにゃくの味はいかがでしょうか? 「おいしいです!」
「品質を落とすことのないよう、作り続けていける量を作っていきたい」。そんな目標を持って、今日も古賀さんはおいしいこんにゃくを作り続けています。(文/ARNE編集部)
〈店舗情報〉
みのう屋
福岡県久留米市田主丸町上原290-8
詳細はみのう屋へ
※この記事は公開日時点の情報です。※出展: FBS福岡放送『めんたいワイド』(月曜~金曜 午後3時48分~)
【参考・画像】
※ FBS福岡放送『めんたいワイド』(月曜~金曜 午後3時48分~)
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