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九州国立博物館 法然と極楽浄土 アフロ仏

アフロ仏は必見!仏教検定1級ライターが教える九博「法然と極楽浄土」ガイド【太宰府】

2025年10月7日より、『九州国立博物館』(太宰府市)にて新しい特別展がスタート!

『九州国立博物館』の開館20周年を記念したもので、同館の歴史のなかでも屈指の規模で開かれます!

【2025年10月7日~11月30日】九州国立博物館で特別展「法然と極楽浄土」開催(太宰府市)

2025年10月7日にスタートし、11月30日(日)まで開催される特別展『法然と極楽浄土』。

法然と極楽浄土 エントランス

画像:Mr.tsubaking

しかし、「興味あるけど難しそう」「どう見たらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

そこで、「仏教検定1級」(※)を持つ私ツバキングが、お勉強感覚ではなく、「カワイイ!」「スゴイ!」から入れる同展のみどころを“超カンタン”にご紹介します! (※)日本仏教協会認定資格

法然って何をした人?

特別展と仏教を“超カンタン”に紹介すると書きましたが、実は、この特別展のタイトルにも名前の入っている法然こそ、仏教を超カンタンにした人なのです!

法然と極楽浄土 法然坐像

画像:Mr.tsubaking ※重要文化財「法然上人坐像」鎌倉時代・當麻寺奥院像

日本に仏教が入ってきたのは、一般の民衆には読み書きができる人がほとんどいなかった時代。

どんなにありがたい教えが書かれたお経でも、人々がそれを読んで感銘を受けたり学んだりすることはできませんでした。そのため、仏教は貴族など地位の高い人たちだけのものだったのです。

そんな仏教を、一気に民衆に広めたのが、鎌倉時代に活躍した法然でした。

法然は、「たくさん『南無阿弥陀仏』を唱えれば救われますよ!」という教えを説き、「浄土宗」を開きました。

ここでいう「救われる」は「死んだ時に阿弥陀如来が迎えに来て、極楽浄土に連れていってくれる」という意味です。

それまでの仏教と違って、出家や修行を必要とせず、「南無阿弥陀仏」をたくさん唱えるだけというスタイルは、瞬く間に日本中に広がっていきました。

阿弥陀如来は極楽浄土のオーナー

法然が「極楽浄土に連れていってくれる」とした阿弥陀如来は、極楽浄土の教主(オーナーみたいなもの)です。同展にも、数多くの阿弥陀如来の像や絵図が出展されています。

「如来」と名前のつく仏には、32の特徴(三十二相)があり、「螺髪(らほつ)」と言われるパンチパーマのようなヘアスタイルなどもその一つ。

そのため、釈迦如来や薬師如来も同じような姿ですが、指で輪を作って「OKサイン」のような印(手のポーズ)を表すのは「阿弥陀如来」だけ。そこで見分けることができます。

今回出展されている中での筆者のオススメは、法然の一周忌を期して作られた重要文化財『阿弥陀如来立像』。キリッとして理知的な表情がカッコいいですね。

法然と極楽浄土

画像:Mr.tsubaking ※重要文化財「阿弥陀如来立像」鎌倉時代・浄土宗蔵

近づくと、指も繊細に彫られていることが見て取れますが、指の間に「水かき」のようなものが見えると思います。これは、阿弥陀如来の「誰も漏らさず救いたい」という願いの表れだとされています!

アフロヘアーのカワイイ仏像「五劫思惟阿弥陀如来坐像」

同展の目玉の一つが、『五劫思惟阿弥陀如来坐像』。アフロみたいなヘアスタイルと幼げな表情で、かわいさも個性も爆発していますね!

法然と極楽浄土 五劫思惟

画像:Mr.tsubaking ※重要文化財「五劫思惟阿弥陀如来坐像」鎌倉時代・五劫院

阿弥陀如来は「どうすれば、すべての人々を救えるか」を「五劫」という途方もない長い時間、瞑想して考え(思惟し)ました。

一劫は、「160キロメートル四方の岩に100年に一度、天女が空から舞い降りてきて羽衣で撫でて、その岩がすり減ってなくなるまでの時間」で、その5倍が五劫です。

ちょっとファンタジーが過ぎる気もしますが、想像を絶するような長い間、阿弥陀如来は人々を救うことに思いを巡らせていたのです。

その時間の長さを、髪が伸びたことで表現しようとするイマジネーションも、面白さを感じさせてくれますね。

横から見るとアフロの迫力が倍増します!

法然と極楽浄土 五劫思惟・髪型

画像:Mr.tsubaking

敵から逃げる女性を救った「見返り阿弥陀」

そんな、『五劫思惟阿弥陀如来坐像』と対をなす目玉が、通称「見返り阿弥陀」と言われる『阿弥陀如来立像』です。

通称の通り、体をひねって後ろを見返るような姿がインパクト大ですね!

法然と極楽浄土 見返り阿弥陀正面

画像:Mr.tsubaking ※「阿弥陀如来立像」鎌倉時代・善光寺(山形)

これには、次のようなエピソードが伝えられています。

源平合戦の頃に、源頼朝に負けた一族の女性が、大事な阿弥陀如来像を背負って逃げていた際、追手に見つかってしまいます。

しかし、背中の阿弥陀如来が後ろを振り返って、その追っ手を撃退。女性は無事に逃げ切ることができたのでした。

法然と極楽浄土 見返り阿弥陀横

画像:Mr.tsubaking

そんな逸話も面白いですが、独特なポーズなのにも関わらず、横や後ろなどあらゆる角度から見ても造形に破綻がなく、見返る動きで物語性を感じさせ、同作を彫った仏師の技術の高さを垣間見ることができます。

極楽浄土ってどんなところ?

阿弥陀如来が、死後に連れていってくれるという極楽浄土とはどんなところなのでしょう。

その様子は、古くからお経にも記されていますが、読み書きができない人の多かった時代は、民衆はそれを知ることができませんでした。

そんな時に、ビジュアルで極楽浄土の様子を表現したのが、『曼荼羅』でした。

10月7日~11月9日(日)は、江戸時代に原寸大の模本として描かれた『當麻曼荼羅図(貞享本)』(重要文化財)が展示されています。

美しい花が咲き、色鮮やかな鳥が舞い、仏たちも楽しげに歌い踊り、まさに「極楽」といえる幸せたっぷりの世界!

法然と極楽浄土 当麻曼荼羅(部分)

画像:Mr.tsubaking ※重要文化財「當麻曼荼羅図(貞享本)」(部分)江戸時代・當麻寺

圧巻なのがそのサイズ! 身長184センチの筆者に比べてもこの大きさです。

法然と極楽浄土 曼荼羅

画像:Mr.tsubaking ※重要文化財「當麻曼陀羅図(貞享本)」江戸時代・當麻寺

筆者も、目にした瞬間に思わず「デケェ……」と声を漏らしていまいました。

また、近づいて細部をみれば、各所に極楽浄土の様子が細かく描かれていて、見飽きることがありません!

11月11日(火)~11月30日(日)には、同じく當麻寺に伝わる国宝『綴織當麻曼陀羅』(つづれおりたいままんだら)が登場。なんと九州初上陸です! 蓮の糸で織られたという奇跡の秘仏を、お見逃しなく!

カワイイ像や威厳ある像など見どころたくさん!

ここまででも、同展の充実っぷりがお分かりいただけていると思いますが、見どころはほかにも!

善導大師立像

福岡市博多区「善導寺」の本尊である『善導大師立像』。わずかに口を開けた、幼い表情がなんともかわいいですね。

法然と極楽浄土 善導大師蔵

画像:Mr.tsubaking ※「善導大師立像」鎌倉時代・善導寺

善導は中国で浄土教を広めた高僧です。この像は、善導大師が空を仰ぎながら念仏を唱えている姿を現しています。

法然は善導を深く尊敬をしており、その著作を読んで称名念仏(南無阿弥陀仏をひたすら唱えること)の道へ進む確信を得たと言われています。

徳川家康座像

浄土宗の大本山である「知恩院」(京都市)に伝わる『徳川家康座像』もこの特別展に出展。

法然と極楽浄土 徳川家康

画像:Mr.tsubaking ※重要文化財「徳川家康坐像」江戸時代・知恩院

江戸時代、徳川家の菩提寺は浄土宗の「増上寺」でした。そのため、増上寺には現在でも徳川家の墓所があり、複数の将軍が埋葬されています。

中でも、初代将軍の徳川家康は浄土宗を篤く信仰しており、深いつながりがありました。

この『徳川家康座像』は、等身大に作られていることに加え、左右に広がるように作られた両袖が、家康の威厳ある存在感を伝えてきます。

また、やけに生命感の溢れる理由は「目」にあります。と言うのも、この目は単なる木彫ではなく、目の部分に水晶を嵌めて裏側から目玉を描いた和紙を貼っているもの。鎌倉時代以降の仏像に見られる「玉眼」という技法で、これによって目に輝きが生まれるのです。

ワクワクできるフォトスポットも!

博物館や美術館の展示は、原則的に撮影禁止になっているものが多いですね。まして、今回のように国宝や重要文化財が多く出される特別展はなおさら。

しかし、同展の最後に展示されている『仏涅槃群像』は撮影OKになっています!

法然と極楽浄土 仏涅槃群像

画像:Mr.tsubaking ※「仏涅槃群像」江戸時代・法然寺

涅槃とは「悟りを開く」という意味がありますが、同時に「死」も意味します。

つまり、この群像が表現しているのは、仏が亡くなった瞬間の様子。悲しみが溢れ出す弟子たちの表情に注目です!

法然と極楽浄土 仏涅槃群像(部分)

画像:Mr.tsubaking

弟子やほかの仏、さらに動物たちまでが仏の死を悲しんでいます。

泣き声まで聞こえてきそうなほど、情感たっぷりに彫られた弟子たちの表情は、思わず何枚も写真を撮ってしまいます!

また、動物たちの姿もかわいく、スマホの壁紙にしたいくらいですよ!

グッズ売り場も大充実

大満足の展示を終えたら、グッズ売り場が待っています。

仏像のアクスタから、「極楽」とデザインされたTシャツやサウナグッズまで、散財待った無し!

法然と極楽浄土 グッズ

画像:Mr.tsubaking

ほかにも、周辺には五劫思惟坐像になりきれる顔出し看板など楽しい仕掛けもたくさん! 会期は、前期10月7日(火)~11月3日(月・祝)、後期11月5日(水)~30日(日)の2期に分かれていて、途中、作品の展示替えが行われますよ。

お勉強ではなく、直感的な感動から学べる『法然と極楽浄土』、ぜひお出かけください!(文/Mr.tsubaking)

特別展「法然と極楽浄土」概要
会期:2025年10月7日(火)〜11月30日(日)
会場:九州国立博物館(福岡県太宰府市石坂4-7-2)
開館時間:日・火〜木=9:30〜17:00、金・土=9:30〜20:00 ※入館は30分前まで
休館日:月曜日 ※ただし10月13日(月・祝)・11月3日(月・祝)・11月24日(月・振休)は開館、10月14日(火)・11月4日(火)・11月25日(火)は休館
料金:大人=2,000円、高大生=1,200円、中学生以下=無料 ※平常展も観覧可能。※大学生以下は学生証や生徒手帳の持参を

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【参考・画像】
※文・画像/Mr.tsubaking

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